「お母さんの脈が触れないって施設から電話があったから向かってる」
次妹からの電話でした。

前日の施設長さんとの電話では、母の状態はあまり良いものではありませんでした。
でも、昨日の今日!
こんなに早く・・・。

500キロ近く離れている上、最近のコロナ急激な感染拡大。
飛んで行きたいけれどそれもできず。

覚悟はしていたものの、それからの数十分は母の写真を見つめてリビングをうろうろしていました。

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ビデオ通話で母に声をかける


施設に到着した妹に頼んで、LINEのビデオ通話を繋いでもらいました。
母の顔が見えます。
目も開けています。

「お母さん、○○だよ」と声をかけてみました。
「お姉ちゃん、お母さん声に反応しているよ。握った私の手に入る力が強くなったよ!」

声をかけながら母を励ましていると、母の両目から涙がポロポロとこぼれていきました。
私の声がわかっている。
そう信じています。

この前日、施設長さんから
「面会してくださって構いません。お母様に会ってあげてください。娘さんたちの声を聞いたら、お元気になるかもしれないし」との言葉をかけてもらっていました。

その言葉をありがたいと感じましたし、母の反応を見てその思いを強くしました。

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父の顔を見て声を出した母


その後、父と末妹も施設に到着。
父が声をかけると、言葉にはならないものの声を出しています。

「なんで最近来てくれなかったのよ〜」
まるでそんなふうに言っているように見えました。

どんな状態になってもやはり夫婦なんだなぁ、と感じた光景。


心配した父のその後


今年の初めから、「老衰で看取りの状態」と言われている母です。
父も覚悟はしていたと思いますが、それでも夜一人になったときのことが心配でした。

食事が進まなくなっているのではないか。
あれこれ考えて眠れなくなっているのではないか。

夜遅くに末妹が送ってきたLINEメッセージには
「私たちが思っていたよりも覚悟を決めていたみたい。いつもと変わりない様子」とありました。

それでも心配で、今朝は父と長電話。
たしかにしっかりしてくれていて、少し安心しました。

去年ダイヤモンド婚式を迎えた両親。
長年連れ添った夫婦ですから、落ち着いているようには見えても、心の中では様々な思いがあることでしょう。

娘の私ですら、夕べは母と一緒に行った場所や話したことなど、次々に思い出して寝付けませんでしたから。

それでも気丈にしてくれている父。
父をしっかりと支えていかないと。
母もそれを一番望んでいるでしょうから。






おわりに


母にしてあげたかったことができない。

コロナ禍でもどかしい思いはありますが、ビデオ通話という便利なツールがあったおかげで、遠距離からでもオンライン面会が果たせました。
父も「あれは便利だな〜」と感心しきり。

顔を見ることができただけでも満足です。
今後は母の生命力次第。
家族の声が、母の力になってくれることを願っています。

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